鉄の家

 

三重県伊勢市に流れる宮川沿いに建つ住居.

国の土木工事によりぽっかりと生まれた野原のような敷地.

建主より、少年の頃好きだった未来少年コナンにでてくる大地にささった宇宙船のような住まいをこの土地につくりたいと相談を受けた.

もう一点、コールテン鋼(耐候性鋼板)で住まいを包むことがクライアントからの要望だった.

錆びることで安定し、浸蝕から身を守るコールテン鋼.

外壁は二層構造である.
一層目内側に、廉価なガルバリウム鋼板の平板で構成した防水層をつくったのち、通気層を確保し、二層目外皮側へコールテン鋼の流通原板を施工する事で防水性、通気性、ノーメンテナンスの耐候性を備える構成となった.
環境建築用語で外皮のことをクラディングという.
コールテン鋼とガルバリウム鋼板の二層構造の外皮.
二層の被膜を纏うことで、外皮は屋外の自然環境に耐え、外皮と内皮の間は十分な通気層となり室内の温熱環境をより優れた環境に整える.
また、内皮に施した防水層、コーキングは時に激しい川べりの立地気候と紫外線劣化から外皮によって守られる.
二層の被膜それぞれが補完し合う纏い.
外壁の施工価格は塗壁と同等であった.

 

鉄は地球の体積の実に3割をしめる元素である.

地球に北極と南極があるのは地球の自転でマグマ(溶けた鉄分)が回転し磁力が生まれることによる.

我々の血液が赤いのはここに鉄分が流れているからである.

 

川の四季と植物の緑と鉄の色はとても親和性が良い.

それは鉄が地球にもともと存在している鉱物だからではないだろうか.

自然の中で佇み、朽ちる美しさ.そこに寂びの精神を僕は見る.

 

人が夕焼けを見て、胸に感じるものがあるのは、この身の中にある鉄分が反応し、自然と応答しているからなのかもしれないと思う.

用途 住居

構造 混構造3階建(木造・鉄骨造   ・鉄筋コンクリート造)

Completion 2015.12

三重県伊勢市

Photo:Katsushi Kawai