2023.3.3

熊野古道センター





再訪。






この熊野古道センターは私の学生時代の恩師が、「歴史的表現」あるいは「歴史性デザイン」を語るときによく引用していた。





これは三つに分類される。




一つめは、要素。


日本建築でいえば、「本瓦葺きにする」、「唐破風を用いる」、「火灯窓をつける」といったような、過去の建築物の部分的なデザインを掻い摘んで折衷するというような考え方。




二つめは、模写・模倣。


寺社や町家、農家といった過去の建築物に、そのまま似せる、同化させようと試みることこそ、歴史的なデザインであるというような考え方。




三つめは、発展。


伝統的な建築物を出発点とし、個々の設計者が再解釈、発展をさせて、現代的な技術も踏まえながら新しい建築をデザインしようとする考え方。



熊野古道センターはその構法が日本建築の発展形から来ているのだという力説を聞いたのだった。



そしてまた、明日の建築をつくる設計者になりたいと思うのであれば、三つ目を目指すこと、というのをずいぶんと刷り込まれてきた。






道中そんなことを回想しながら、雨男の人間が、目的地へ近づくと雨がやむ。






今回お邪魔したのは、とある物件のフローリング材に使う木種を何にしようかなーと考えたとき、そういえば。と、ふと思い出したのがきっかけ。














やっぱり記憶の通りだった。




なんとなく「白っぽくて、並べたときに面として見える」のが似合うのかな?と想像してたのだけれど、ここには予想以上にたくさんの木種がある。





選びきれないので、一晩考え、後日フローリングメーカーさんにサンプル材を送っていただいて決めました…






帰りにスタッフのおじさんが、建物を実際に毎日利用してみての感想や、竣工後こういうところを補修した、というような案内をしてくださった。







軒先、2段目の鼻隠し材に一本黒い線(影?黒コーキング?)が入るだけで、軽やかに見えるのはすごい…





探してみたら、学生時代に初めて訪れたときの写真も出てきました。




実は雨の日に行くのがおススメなのです。


雨の落ち方がデザインされているのも、この建築物の魅力なので…次のお出かけはぜひ尾鷲へ。





スタッフ 阿部