2014.3.30
幸せな建築
現在工事が進行中のプロジェクト、『風車のみえる家』
いよいよ終盤です。
今回はなんと、お施主様がご自分で鉄手摺を作られるとのご意志だったので、製作のお手伝いに行ってきました。
奥様のお父様が鉄工所を営まれており、ご主人様はかねてからこのモノづくりの現場に興味を持っていたそうです。
唐突ですが、
素晴らしい建築とは何か?
とは、特に住宅建築においてよく議論になるところです。
僕はその問いに対して、確信をもって言える回答がありません。
(もちろん自分が素晴らしいと思ったら素晴らしい、という自分の軸はあります。)
プランが素晴らしい。
デザインが素晴らしい。
使い勝手が素晴らしい。
前衛的で素晴らしい。
伝統的で素晴らしい。
・・・等といろいろあり、あっちをたたせれば、こっちがたたず、という事も往々にしてあったり、しかもそれはあくまでも個人的主観なので、判断する人によっても様々な評価基準があったりして、全ての素晴らしいを満たす建築というのは難しいのかもしれません。
ですが、幸せな建築とは何か?
という問いに対しては、確信をもって、答える事が出来ます。
それは、住む人に愛されている建築。
愛着とも言いかえれるかもしれません。
建築はどうしても現実的に物質的側面を持ちます。
まわりにどんなに素晴らしい建築だと評価されても、住む人に嫌われてしまったら、物理的にも、思想的にも死んでしまいます。
愛された建築には人の想いが移ると信じています。
それが住空間を超えた色んな意味で好循環をもたらすんだと思います。
当たり前といえば、当たり前ですね。
なんだか書いてて照れくさくなってきましたが、今回ご主人様が手摺を作っているところを見て、改めてこう思いました。
お義父さんに手伝ってもらいながらつくったこの手摺は、絶対に愛着となり、建築への愛情のひとつとなるはずです。
お施主様の手のあとを残すこと。
建築へのスキンシップとしてこの上ない愛情表現ですね。
T様お疲れ様でした!!
(※これはもちろん自分に対しても言えることですが、やはりセルフビルドは、手を出していいところと、いけないところの見極めが大事だと思います。
この判断を間違えると、仕上り的にも、作業的にも危険です。
プロに任せるべきところはしっかり任せ、自分たちの出来る範囲で参加する。
このバランスが重要だと思っています。)
ヨネダ設計舎ホームページURL http://www.yonedasekkeisha.com
米田雅樹 三重県 建築設計事務所