2015.8.10

建築巡礼20150810

 
20150809  日曜日 時間をつくり、自分を言い聞かし、一人急遽レクチャーと建築巡礼に.
 
 
愛知淑徳大学で行われていたギャラリー間の巡回展、藤本壮介展 『未来の未来』と、藤本さんのレクチャーを聴きに行く為に半ば強引にスケジュール調整.
 
この日の行動は、どうしても行くべきだと、いつもに増して野生の勘的なものが働いたのです・・・.
 
長久手にある展覧会場に向かう算段をしていると、ふと、ちかくに以前から気になっていた建築が在ることを思い出し、ハッとする.
 
 
愛知芸術大学  設計 吉村順三 実施設計 奥村昭雄 1971年竣工
 
DOCOMOMOJAPAN  NO122
 
 
レクチャーが始まるのが17時から、もう16時前なのに、予定駅を通り過ぎ、足が半自動的にこの場所に向かう.
 
 
 
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南北に伸びる110mの建築.
 
 
 
 
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ピロティ式に持ち上げられた講義堂.
 
 
それを支える十字型のRC柱の架構が連続します.
 
 
十字の柱と梁で構築された超建築的な空間に、アールの付いたキャンティ梁が対比的であり、肉体的で官能的です.
 
 
 
 
この建築を体験していて、地盤面と建築の段差(レベル差)が生む、建築とヒトとの距離の変化(関係の変化・認識の変化)、居場所の生成力にアタマにもハートにも血が巡る.
 
 
 
 
 
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この建物は主機能室が柱に持ち上げられて、緑の丘の上に浮いている.
 
一部では、空中居室の下にも室がBOX状に吊り下げられている為、長い軒下において、天井の高さが様々に異なっている.
 
そのうえ、地盤面もアプローチからさらに段状に下がるので、ひとと建築の間にたくさんの種類のスケール感がある.
 
 
水平に長い建物を支える柱は、吊り下げ部がない建物先端のいちばん長いところでは、人にとって圧倒的なスケールであり、そこは知覚の向こう、スケール感が消えるような、もはやひとの手の届かない壮大さを感じる.
 
 
 
 
 
 
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反面、階段を上り、講堂に入るポーチ部ではさっきまで天の上、高い高い位置にあった柱頭が、自分のアタマの上すれすれの場所にあり、とっても親密的であり、肉体的な親近感すら感じる.
 
 
建築は動かない.
 
 
だけれども人と建築の関係は様々に動く.
 
 
それは、設計図でSGLのラインをビュッと一本通し、それを基準に、その周りで建物が構築されていく関係そのもののようであった.
 
建築が導いた場所によって、ヒトと建築が結ぶ関係が変わる.
 
 
 
 
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中間の軒下はテーブルとチェアが並べられたテラスになっていて、柱が生む程よい囲われ感と、階段下が生むすり鉢状の居場所の溜まり、先のエンドには腰くらいの高さの立上りが気をとどめて、とても気持ちの良い場所になっていました.
 
 
 
 
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ひとと建築を親密に導くスケールは、低く抑えることのみではなく、高さと低さの相対関係が、より良い関係を紡いでいくのだと大きな気付きをいただいた巡礼でした.
 
この建築が親密さを目指してつくられたわけではないのでしょうが、建築の所作で、荘厳さのなかに親近性を持たせることができると.
 
 
それはなんとなく、神社が持つ全体の神聖さの中にある、人の実身体的接点、鈴乃緒(ガラガラの事)の関係に似ていると思いました. 
 
 
丘の上に学びの舎の象徴として敢然とたち、水平に浮かぶ姿.
 
ひとつの建築の世界に包まれた様々な関係、感覚.
 
ある時は神々しく、ある時は肉親的な.
 
 
 
 
 
 
 
その後向かった藤本壮介さんのレクチャーでも、この建築で感じたことの共通点と、その中での相違点があり、比較できたことで、この日、より腑に落ちる思考がまとまりました. 
 
 
駅まで走った.駅からも走った.
 
藤本壮介展へつづく→
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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米田雅樹 三重県 建築設計事務所