2021.1.5
謹賀新年
あけましておめでとうございます。
弊社は2021年1月5日 本日から仕事始めです。
今年のお正月はほとんどどこにも行かず、読書の世界にどっぷり浸かったり、近しい方と一献したりして過ごしました。
本を読んでいると、本とも、自分とも対話している感覚になります。
40歳時点での建築について、ものづくりについて、生活観についてすこし思い廻ったこと。
夜学に通っていた頃、建築家の自邸という書籍で石井修さん、竹原義二さん、阿部勤さんのご自宅を知り、食い入るように本を何回もめくり、思いを馳せ、こんな建築をつくれるようになりたいと憧れました。
木をつかい、石をつかい、土をつかい、素材の持つ表情をひきだし、建築をつくる匠。
コンクリートを即物的に、モノとモノをぶつけるダイナミックさと、動物の巣のような居心地の良い空間。
しばらくして、毎月専門誌を読み込むことが自分のルーティンになり、バイブルになりました。
それから今まで、建築というものは説明できないといけない、そこに合理性と美が統合されてこそ、建築である。
じゃないと恣意的で、ひとりよがりな建築だと指摘されてしまうんだ、
と、みえない誰かの目や、勝手に建築界を想像して、自分を縛ってきた気がします。
独立して自分で建築をつくる機会をいただくようになると、「自分らしさというものが大切なんだ」と思い込み、(思い込ませ)
単純にカッコいいもの、美しいものをつくることは目的じゃないんだ、と思っていました。
それはストレートを投げても変なクセがついてしまう自分の美的感覚から目をそらしていた節もあるなーと思います。
建築は建築予算との闘いであるともいえますが、ローコスト建築に対する取り組みも、
プロジェクトは1円でも安く実現することが目的ではなく、計画予算の中で、どういった解答ができるか、につきるのであり、
そこに建築の工夫や知恵を結晶化させて魅力に還元していくべきです。
建築の中に見えてくる部材、それはデザインの為だけの線だったり、構築物だったりすると、意味のないもの、となってしまうけど、
それが構造耐力を負担するものだった場合、水戸黄門の印篭のように説得力をもってくる現象があります。
でも、必ずしも意味なんてなくてもいいんじゃないか、と最近思う。
でも、そこに魅力に通じる効果はあるべきだ。
ローコストというキーワードにもそのような違和感を感じていて、○○円のProjectだからこうなった、ではなく、構造と建築の融合のように、
または構造を負担する構築物じゃなくても、それ自体がその建築を建築たらしめるような、
コストに対して向き合った結果も、建築に遡及するそんな要素になるのが理想。
建築って人の生き方だと思う。
建築はつくることだけじゃなくて、住む場所、活動する場所や環境を選択し、そこで生きていくということ。
人間は意識的にも無意識的にも場所や建築をとおして、基点として、どうやって生きていきたいか、の選択をしているのだと思います。
これから。
勉強し始めたころ、何も知らなかったころの自分が惹かれた素材たちへの眼差しも、
現代建築のダイヤグラムや構成、モダニズムの秩序に少し傾倒し、魅力を感じてきたことも、
美しいものを見るのが好きで、でもそれを目的にしないなんて逃げてたことも、
統合する。
全部を統合して、設計をしていきたいと思う。
これだ、と心がうなずくような、線を引いていきたい。
無理に力を入れなくても、自分たちらしさ、というのは、思考の結果、自然とにじみ出てくるもの。
モノの魅力に向き合い、美しさに向き合い、ときにはクセをよしとし、人と向き合い、僕たちも、僕たちに設計を依頼してくださった方も魅力的だ、と思ってもらえるものをつくっていきたい。
本年も何卒よろしくお願いいたします。
(写真は1月2日、乗り過ごした電車のホームの待合にて.蛍光ペンのキャップと光の現象がよかった)
一級建築士事務所ヨネダ設計舎 代表 米田雅樹
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