2023.5.20
O様邸古民家改修 工事終盤
大工工事・左官工事がどんどんと進み、空間が完成しつつあります。
朝日が入るキッチン空間は、光の当たり具合で、手前と奥との土壁の色合いや質感が、少し異なって見えるのです。
キッチンに立つと、パントリーの横長の窓から焼杉が貼られた外壁が見えます。
天窓から落ちた光はルーバーから漏れて、時間の移ろいを表現する装置のようです。
先日は建具が「できたところから」搬入され、吊り込み工事が行われました。
本工事では、壁が少ない分、建具が新築のおうちの3倍ぐらい製作されるため、建具屋さんにも大変なご苦労をおかけしています…
障子戸と板戸との相性は抜群。ここに畳が入ると更に空間が良くなるだろうと想像します。
板戸の内部は、デスクワークができる天板や、本などが置ける棚板を設けています。
現在は外周部の木製建具を製作中。
丸窓の壁は、左官屋さんの親方が自ら鏝を持ち、小口は「貝の口」と名付けた、大らかな曲面でありながら、ピン角とするおさまりになる予定です。
薪ストーブが設置され、背面の黒色の土壁とよく合っています。
今後、薪ストーブの背面には銅板を貼った遮熱板が置かれる予定で、楽しみは更に続きます。
写真右手の腰壁にも土壁を塗っていただいたのですが、左官屋さんの親方が「気に入らない」と言って、せっかく塗った土を落とし、再度塗り直してくださることになったのです…
縁側や廻り廊下も良い空間になってきました。
お店の方も順調に工事が進んでいます。
まずは外観。レンガタイルは、横目地を大きく取り、縦目地を小さくして重厚性を表現しています(水平基調)。
対して、杉板は見付を細し、繊細に見せる工夫をしています(鉛直基調)。
内部空間はラワン材を採用しています。
壁・天井は既存の躯体の内側に、入れ子状に柱・梁を設け、「シェルター」の役割を持たせています。
シェルターの間からは既存の土壁(一部赤土で補修)が所どころ垣間見えるように、平面形や壁の幅を操作しています。
天井面に鉄骨の既存の梁が一本通ることで、空間の良いアクセントになるように狙っています。
ルーバーに照明を当てると、光と影のリズムを生む壁面も現れました。
(ここには物販コーナーの棚板が、もうすぐ取り付きます。)
建築工事は残り僅か。
職人さんも弊社も頑張りどころです。
(今後、作庭の工事も行われ、ますます良い雰囲気になるのだろうとワクワクしている今日この頃…)
スタッフ 阿部