2024.5.23

夕方

 

 

帰り道.

 

水田、夕方.

 

 

とても好きな季節.

 

 

蛙が鳴きはじめる.

 

 

そういえば.最近、草野心平さんの詩を読んでいます.

 

蛙の詩人.

草野さんの詩の世界を漂っていると、自分も水の中にいて、生命の明滅のひとつになったように感じます.

  

 

 

「青イ花」 は寂しい詩ですが、物凄い感性です.

 

僕が読んでいる詩集の一番最初の詩、

 

「誕生祭」に出会った際は大変衝撃でした.

 

 

 

 

 

誕生祭

砂川原のまんなかの沼が夕焼け雲を映してゐたが。
もうむらさきの靄もたちこめ。
金盥の月がのぼつた。

蒲やおもだかが沼をふちどり。
その茎や葉や穂のびろうどには重なりあふほどの蛍たちが。
蛍イルミネーションがせはしくせはしく明滅する。
げんごろうの背中には水すましが。鯰のひげには光る藻が。

この時。
とくさの笛が鳴り渡つた。
するといきなり。沼のおもては蛙の顔で充満し。
幾重もの円輪をつくつてなんか厳かにしんとしてゐる。
螢がさつとあかりを消し。
あたりいちめん闇が沸き。
とくさの笛がふたたび高く鳴り渡ると。
《悠悠延延たり一万年のはての祝祭》の合唱が蒲もゆれゆれ轟きわたる。

たちあがったのはごびろだらうか。
それともぐりまだらうかケルケだらうか。
合唱のすんだ明滅のなかに。
ひときは高くかやつり草にもたれかかり。
ばあらばあらと太い呪文を唱へてから。

全われわれの誕生の。
全われわれのよろこびの。
今宵は今年のたつたひと宵。
全われわれの胸は音たて。
全われわれの瞳はひかり。
全われわれの未来を祝し……。
全われわれは……。

飲めや歌へだ。ともうじやぼじやぼじやぼじやぼのひかりの渦。
泥鰌はきらつとはねあがり。
無数無数の螢はながれもつれあふ。

りーりー りりる りりる りつふつふつふ
りーりー りりる りりる りつふつふつふ
りりんふ ふけんふ
ふけんく けけつけ
けくつく けくつく けんさりりをる
けくつく けくつく けんさりりをる
びいだらら びいだらら
びんびん びがんく
びいだらら びいだらら
びんびん びがんく
びがんく びがんく がつがつがりりがりりき
びがんく びがんく がつがつがりりがりりき
がりりき きくつく がつがつがりりき
がりりき きくつく くつくく ぐぐぐ
ぐぐぐぐ ぐぐんく ぐぐぐぐ ぐぐんく
ぐるるつ ぐるるつ いいいいいいいいいいいいいいいいい
ぐるるつ ぐるるつ いいいいいいいいいいいいいいいいい
があんびやん があんびやん


われらのゆめは
よあけのあのいろ
われらのうたは

ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ
ぎやわろつぎやわろつぎやわろろろろりつ

 

 

 

 

 

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