2015.1.6

普遍性

 
 
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昨年末の事、原広司さんの著書を続けて読んだ.
 
素晴らしい内容だった.
 
人の意識と現実空間、その間の情景図式(ある時点で見た情景は次の瞬間には記憶となっている)等の認知論.
 
物と物との境界.意識と物との境界.つながり.
 
氏の空間認知論の思想もふまえつつ読み解かれた、世界の集落の在り方.
 
 
人間の意識下、無意識下から生成された風土と共にある形.
 
 
去年の夏頃から、「建築の普遍性」という言葉にずっと引っかかっていたけれど、この本と出合ってかなりクリアになった.
 
 
氏は今も残る集落について、
 
『持続の基礎は、建築が形式を踏襲しながら周期的に建て替えられるところにある。この周期性に基づく持続は、人々の意識や社会の組立が大きく変わらないこと、また未だ近代化の波に洗われる事態が起こっていない事などに原因はあるであろうが、第一には集落が地理学的に一つの安定した平衡状態に到達していると考えられる。この平衡状態は、主として生産性と居住性の二つの点から説明されるであろう。』
 
『もちろん、多くの集落は、各地において生成、消滅を繰り返してきているだろう』
 
 
今、日本におけるいわゆる日本型の形式が、意図しないとなくなりかけているのは、人々の意識や社会の組み立てが変換し、今まさに生成消滅の狭間なんだろうと感じる.(無意識下には)
 
 
『建築の究極は、知恵の発現である。それがデザインの意味である。』
 
普遍性、という言葉をこの部分に当てはめると納得できた.
 
(もちろんもっとミクロ的な人が根源的に感じる事という意味での普遍性という言葉もあると思うけど.)
 
結局『普遍性』という言葉を考えていちばん感じたことは、建築の解答は一つじゃないということだった.
 
[本書の主題は普遍性を読み解くためにかかれているわけではありません.あくまでも現時点の僕個人の思考とのリンクの話しです]
 
後世まで残りうる 人類の為の知恵の発現 を全てが目指すわけではなく、設計者一人一人にスタンスがあるのだと、改めて自分の足元を確認できた.
 
それでも自分の思考の深度を深めるために、藤子不二雄さんが秀逸なブラック内容のマンガ(Fさんは異色短編集・Aさんはブラックユーモア集)を描かれたように、今考える自分の進む方向と全く同じだと感じなくても、様々な知見にふれていきたい.
 
 
 
 
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米田雅樹 三重県 建築設計事務所