2016.8.15

二重生活

昨日の正午から家族の予定があって、半日休日にしました.
夕方から僕だけ時間があいて一人になったので、気になっていた映画を観てきました.
伊勢新富座.とてもレトロで上映作品も個性的なモノばかりの素敵な映画館.
お盆.ひとりで映画を愉しむ夏の贅沢な時間でした.
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二重生活  監督 岸善幸 2015年 R-15作品
小池真理子さんの小説が原作で、物語の世界は現代美術家のソフィ カルの「本当の話」を引用しています. 
ソフィカルは写真(記録)と言葉と認知で独自のアートの世界をつくるパリの作家さんで、去年豊田市美術館で展覧会がありましたが僕は見逃してしまっていて、とても興味がありました.
哲学科の大学院生である主人公が修士論文のために知らない人を尾行し記録する.
そこにある人間模様・・・.
この作品も主役の門脇麦さんの素晴らしい演技が光ります.
観ていて思ったこと.社会的に許されることではないですが、人を尾行する、という行いは、ある意味その対象人物に自分がのめり込んでいくことであり、その結果感情の同化現象のようなものが起こり、対象人物の様々な感情をも自分の感情の中に招き入れて負わせることになる、自分にとってもとても負荷のかかる行いです.
それはなにも劇中のように人を尾行しなくても、日常社会において人と人とが深くかかわることで、そういった感情の共鳴共有現象はそこここに起こっている.
人間がわからないとひとは言う.ともすると、自分ですらわからなくなる事もあるので、わかるはずがないとも僕は思う.
人の心、感情というカタチをもたない不思議なもの.
それぞれたくさんのその共鳴と反応の果てに社会が現象している.
ひとりの人間に与えられた限られた時間のなかで経験する、明るいことも、苦しいことも自分の中に現象させて、色んなものをこしらえていきたい.結局僕はそんな事を思った.
お盆の午後.哲学的な休日でした。。。
気になって、ソフィカルの書籍「本当の話」をネットで探したら、絶版になっていてプレミア価格15000円.
うーん、買えないな・・・.
この諦めの心も、人間の感情現象の結果のひとつ・・・.
ヨネダ設計舎ホームページURL http://www.yonedasekkeisha.com
米田雅樹 三重県 建築設計事務所