2020.2.23

建築私感4 (読書感想と建築家スタンド論)

 

 

 

増田信吾+大坪克亘 さんの作品集 『Adaptation』 を読みました.

 

この作品集は眺める、というよりもここに結晶化された状況と与件、応答と反応を読む(楽しみながら、唸りながら)、といった印象で、堪能しました.

 

 

鮮やかな切り口で作品を発表してきたまだ30代のお二人のこれまでの歩みと、考え方に触れることができる本.

 

 

今までの取り組みで、建築設計という行い、建築設計という領域自体を拡張してきたといえる切れ味の作品群.

 

 

建築設計という概念の垣根が薄くなくなって、どこまでも溶けていくような世界.

 

 

(事実、新築・リノベーションという枠ではなく世界そのもの、気付きそのものを設計している.)

 

 

 

なんというか、、、、

 

 

この方たちの建築を見せてもらう(誌面ごしではあるけれど)、想像させてもらう、ということは、(この方たちの建築は、)

 

 

この方たちの知恵、思考を味わうということなんだと思った.

 

 

かつて清家清さんが、『建築はウィット・ユーモア』とおっしゃたそうですが、

 

この作品群は思考のセンスと相乗的に、美的センスも鋭い・・・・。

 

ウィット、ユーモアという言葉だけではとらえることのできない位相、そして人間の快楽の対象だけではない建築と場の空気感、

 

これを感じて 祈り という言葉が浮かびました.

 

 

とても刺激的な作品集でした.

 

 

 

 

話が飛んで、僕にはかねてから、建築家ジョジョスタンド論、という持論があります。

 

ジョジョとはジャンプコミックスのジョジョの奇妙な冒険という作品ですが、

この作品の社会では主人公はじめ、様々な人が自分の精神エネルギーと生命エネルギーを具現化したスタンドを操ることができます.

(スタンド使い以外の人々にはスタンド見えません)

 

このスタンドたちはそれぞれ使える能力が異なり、姿かたち(ほとんど人型ですが)もそれぞれまったく異なるというユニークな設定です.

それは自分の精神から出たものであり、選択できるものではありません.

(精神を培ってくるそれぞれの人生の道程で時間をかけて選択しているとも言えますが.)

 

建築設計もこれと同じだと思っています.

 

設計者の日々の思考、デザインの嗜好、選択の志向、人生観、経験によって自分の設計のスタンドが生成される.

 

それはもちろんその建築家が体験してきた空間や概念、考えてきたことの蓄積でもあるし、

影響を受けた先人からのエッセンスもあるだろうし、マンガだったり、映画だったり、失恋だったり、人間関係や社会との距離(武道でいうところの間合い)たちの集積と化学反応で建築スタンドが生成されるのだ.と.

 

もしかしたらそのスタンドの形と能力は自分が憧れた形そのものでないかもしれない、けれどもそれはその建築家(人間)そのものであるわけです.

 

 

ぼくはこのお二人のスタンドをここに見た気がします.

 

 

そして自分のスタンドとは・・・と考えてみると、それは雑食で、それを糧に姿を変えていけるヤツかも、、、だろうな、、なんて思っています.

 

もちろん僕も自分の核心は存在していて、それを育てていかねば、と.

 

 

 

栄養をいただきました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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三重県 設計事務所 建築